「妻も不倫相手も大好き」“女好き”な男の暗い過去|不倫男の胸のうち
<恋する「不倫男」の胸のうち――Vol.7>
複数の女性を同時に愛し、妻とも不倫相手たちとも「うまくやっている」という不思議な男性。彼の行動に隠された、意外な心理とは。不倫事情を長年取材し著書多数のライター・亀山早苗さんが、恋する男性の胸のうちをレポートします。(以下、亀山さんの寄稿)
「好きな人がいるってうれしいことですよね」
やけに明るいヨシオさん(42歳)に出会った。彼は29歳のときに結婚、ふたりの子がいるが、「ほぼ常に」恋をしていると言う。
「惚れっぽいんですよね。好きだとなったら行動に移さずにはいられない。でも最初から結婚しているし離婚はしないと言うんです。それでもよかったらつきあって、と」
恋をしているときは目の前の人しか見ない。一時期は、家庭外に好きな女性が4人もいた。それでも誰からも恨まれず、誰からも文句を言われたこともないそうだ。
「僕は妻のことも大好きなんですよ。だから家庭がいちばん。週末は家族で遊ぶのが楽しくてたまらない。でも平日は他の女性と会うのが楽しい。楽しいから仕事にも身が入る」
支障があるので業種は言えないが、彼はとある事務所を経営している。密会は平日昼間、もしくは夕方以降。本人いわく、人一倍仕事をしているが、人一倍恋もしているそうだ。
「女性って、それぞれに魅力があると思うんですよ。ネガティブなことばかり言ってる女性を見れば、なんとか明るい気持ちをもってほしいと思うし、明るい女性とはもっと楽しい時間を過ごしたいと思うし……。男女の関係を持つことにしてもそう。楽しい“行為”を知ってほしい、テクニックはともかく、僕は女性と接するときは命がけですから」
どこまでが本当なのかよくわからないが妙な説得力がある。この「軽さ」がヨシオさんのいいところなのかもしれない。
「不倫って女性にとってはやはり罪悪感がともなうと思うんですが、それを感じさせてはいけない。自分が楽しく生きること、快楽を求めることは悪いことではないと思ってもらいたいんです」
とにかく楽しく生きることが身上なもんで、とヨシオさんは肩をすくめる。
女性が大好き、恋は最高と軽く言うヨシオさんだが、彼の人生は決して幸せなものではなかったそうだ。
「母に対する父親のDVがひどくて、いつも部屋の隅でおびえていました。小学校に入るころには母に『どこかに逃げよう』と言ったくらい。ただ、どういうわけか母は逃げようとしなかった。
でも父親のDVが激化し、あるとき殴る蹴るが止まらなくなって、近所の人が警察に通報したんです。顔は腫れ上がり、あちこち骨折していたので父は警察に連れていかれ、周りの人の助言もあったのか、やっと離婚できました。僕が10歳のころでした。
それからは母が必死に働いて育ててくれたんです。いつか親孝行をしたいと思っていたのに、無理がたたったんでしょうか、母は僕が大学を卒業してすぐ他界。これからだったのに」
一瞬、ヨシオさんの顔が歪んだ。涙をこらえているようにも見える。だが次の瞬間、彼はまたすぐ笑顔になった。
「母親への思いが強いからかな、女性が大好きなのは」
自分と関わる女性には幸せになってほしい。その思いが、女性たちとのつきあいへと彼を走らせているのだろうか。
女性が愛おしくてたまらない
決して幸せな子ども時代ではなかったから
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