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Vol.13-2 離婚した僕に愛犬が教えてくれたこと「泣いて犬に謝りました」

人は他者といることでしか幸せを感じられない

 ひどい仕打ちをした自分に対して、犬が何事もなかったかのように愛情を示してくれたことに心を打たれた片山さんは、あることに気づいたという。 「僕はこの子がそこにいるというだけで幸せな時間をもらっている。誰かと一緒にすごす時間というのはとても大切で、かけがえのないものなんだと気づいたんです。同時に、自分の感情的な行動を反省しました。この子は自分がいないと生きていけないし、自分が守ってあげなければならないのに、僕は一体なにをやっているんだと」 ※写真はイメージです 自分もこの犬と同じ。ひとりで生きてるわけじゃない。家族や友達や同僚とすごすことで、一緒に大切な時間を生きている。そして彼らから支えられている。犬との一件でそれを実感したと片山さんはしみじみと語った。 「僕、離婚してすぐ、妹にLINEで『なんのために生きてるのかわからない』って、切羽詰ったメッセージを送ってしまったことがあるんです。送った直後に彼女から電話かかってきました。すごく心配してくれていて……。彼女は、かつて僕に鬱憤晴らしで暴力を振るわれた被害者なのに……。ありがたくて、泣きそうになりました。 僕はひどい兄だったけど、家族として妹と一緒にすごした時間に意味はあったんです。電話を切って、こういうことで幸せを感じるために人は生きているのかもしれないと思いました」  片山さんの言葉に筆者も感傷的になったが、同時にある矛盾も感じた。片山さんはこの取材で再三、「自分は思い通りにならないことに対して、普通の人よりもストレスを感じやすい人間だ」と言っていたが、一緒にすごす“他者”ほど思い通りにならない存在はない。実際、そのせいで片山さんは職場を休職したし、由香さんとも離婚した。にもかかわらず、「誰かと一緒にすごす時間が大切」とはどういうことなのか?  そんな疑問を投げかけると、少し考え込んだ片山さんは、こんな話をしはじめた。 「僕、昔はものすごいゲーマーだったんですよ」
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自分だけで完結する世界
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