中学高校時代はゲームセンターに通いまくり、『ストリートファイターII』シリーズや『バーチャファイター』シリーズなどの格闘ゲームに散々はまったという片山さん。家ではスーパーファミコンやプレイステーションなどの家庭用ゲーム機で、各種RPGからサッカーゲームまで浴びるようにゲーム三昧。社会人になってもゲーム熱は続いた。

「ただ、唯一やらなかったのが、オンラインゲームです」
要はインターネットにつないでプレイするゲームである。ネット上の見知らぬプレイヤーと対戦したり、パーティーを組んで冒険したり。昨今の流行りは「オープンワールド」と呼ばれるタイプのゲームで、ネット上に構築された広大な空間を自由に動き回れるほか、その瞬間にログインしている別のプレーヤーとチャットで交流できるものもある。仮想空間上に
「街」や
「コミュニティ」が存在しているわけだ。しかし、片山さんはそれが
“不快”だったという。
「ゲームって自分が楽しむためにやるものだから、他人の邪魔が入ってほしくないなと。黙々と鍛錬して技を磨いたり、じっくり腰を据えて攻略法を練ったりしたい。
オンラインゲームは自分の進行が他プレイヤーの存在によって影響を受けるじゃないですか。それがとても不快で」
あらかじめプログラムされたイベントや課題をこなすだけでなく、現実に会ったことのないプレイヤーともコミュニケーションが取れる。それこそがオンラインゲームの醍醐味であるはずだが、片山さんにとっては苦痛でしかなかった。オンラインゲームで構築される空間は、片山さんが辛酸をなめた
「学校」や
「職場」そのものだからだ。

「仕事にしろゲームにしろ、誰かに急かされたり、促されたりすることなく、自分ひとりでじっくり計画を立てて遂行していくのが好きなんです。だから僕はスタンドアローンのゲームしかやりませんでした」
スタンドアローンとは、ネットにつながっていない、目の前のゲーム機とモニタで完結している状態のことである。実際、片山さんはRPGの有名作『ファイナルファンタジー』シリーズのファンだが、オンライン対応作である11作目と14作目には触手が伸びなかったという。
「ただ、ここ数年はほとんどゲームをほとんどやっていません。代わりに、離婚後に新しい趣味ができました。
キャンプです」