2人の朝ドラ主演女優が、陰湿バトル。女同士のマウント合戦から目が離せない | ドラマ『もしがく』6・7話
1984年の渋谷を舞台にした群像劇『もしがく』こと、『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』(フジテレビ系、水曜夜10時~)。潰れかけたストリップ劇場「WS劇場」を救おうと、素人集団がまさかのシェイクスピア演劇に挑む。第6・7話でいくつかの苦い別れがあり、8話では『冬物語』の上演へ――。(以下、ドラマ批評家・木俣冬さんの寄稿)。
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二階堂ふみと浜辺美波のキャットファイトがおそろしくもおもしろい。『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』で二階堂演じる倖田リカと浜辺演じる樹里が繰り広げる女の戦い。昨今、コンプライアンスに気を遣って、ドラマではきつい表現は抑えめだが、ふたりの戦いは容赦ない。
1984年の渋谷・道玄坂をモデルにした八分坂で、ストリッパーをやったりボッタクリバーで働いたりしているはすっぱなリカと、八分坂の神社の娘で巫女をやっている潔癖な樹里。ふたりの相性が最悪。暴力沙汰にはならないものの会話がじつに刺々しい。令和の時代の、誰の気持ちも受け入れましょうなんて発想はそこにはさらさらない。自分を活かすために相手を潰す、それ一点である。
はじめて舞台『夏の夜の夢』を見て、演劇やシェイクスピアにすっかり魅入られてしまった樹里の素直な感動に、リカは水を差しまくる。樹里の言うことをいちいち否定して、ぐうの音も出ないように論破し「もっと勉強しなさい」と上から目線(第6話)。声のトーンも表情も抑えめだけど、だからこそ切れ味が鋭い。
樹里はただただやりこめられるだけ。でも彼女だって弱い人ではない。男性陣(クベや蓬莱や父)には特権的な姫的に振る舞っている。でもリカにはそれは通用しない。だから決して声を荒らげたり、反論したりしない。分が悪いのがわかっているからだ。
リカの明らかな意地悪を、気持ちを抑えて大人しく聞いて、これで失礼しますと席を立つ(第7話)。まあ、演劇に詳しそうなリカには何を言っても叶わないから何も言えず、すごすごと尻尾を巻いて帰るしかないのだが。
樹里もなかなかしたたかなのだ。リカの前で取り乱したら完璧に負けだから。あくまで聞き分けのいい子を貫き続ける。
ストリッパーの二階堂ふみ VS 巫女の浜辺美波
ハラハラするキャットファイト
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