「日本一絡みにくいアナウンサー」とゲストに言われた

入社直後の新人挨拶で何か面白いことを言わなければ…というプレッシャーと焦りから『1、2、3、ダァーッ!!』と絶叫してその場にいた全員からドン引きされたのが始まりで、恐怖が空回りしたことによる失敗談は山のようにあります。
番組ゲストとの会話をスムーズに進めるために、相手のことを徹底的に調べて臨(のぞ)んだものの、『知っていることをただ確認するだけ』になってしまい、『それは会話じゃなくて尋問(じんもん)だ』と怒られたり、事前に予行演習をしておけば上手くいくんじゃないかと思い、話が弾むような質問と回答をまとめた会話のシミュレーションシートを作ってみたんですが、相手が想定外の回答をした途端、頭が真っ白になって失礼なことを聞いてしまい、後から大目玉をくらうなど、やること為(な)すことが裏目に出てしまっていました。
ゲストの方から「日本一絡みにくいアナウンサー」といわれてしまったこともあります。
コミュニケーション上達のヒントは「ルール」と「武器」
ただ、あるときから、人からつまらないと思われようと「もうそれはそれでいいや」という感覚になったんです。たくさんの失敗を経て、そう思えるようになったということもありますが、一番大きいのは、「会話にはルールがある」ということに気がついたからです。
そして、そのルールを覚え、「会話に使える自分なりの武器」を少しずつ獲得していったことで、人と話すことが怖い、面倒くさいという気持ちを乗り越えることができました。
例えば、コミュニケーションには必ず制限時間があります。
職場のエレベーターで、顔見知りだけどあまり話したことのない人と一緒になってしまい、沈黙が気まずかった…という苦い経験は私にもありますが、その時間はせいぜい30秒くらいのものです。あるいは、共通の話題がなさそうな上司との外出であっても、電車に乗っている間の30分、タクシーでの15分など、必ず時間が決まっています。
終わりのない会話はない、その制限時間内をなんとかやり繰りすればいいんだ、というルールの発見は私の気持ちをかなりラクにしてくれました。

誰とでも苦もなくコミュニケーションをとれる人たちは、特別な「勇者」というわけではありません。彼らは、会話のルールを把握し、そこで使える武器を持ち合わせているだけなのです。丸腰で戦えといわれたら恐怖しかありませんが、「すぐに使えるいい武器があるよ」といわれたら、ちょっとがんばって会話してみようかなという気持ちになれるのではないでしょうか。
試しに、よくご相談いただくお悩みと解決のヒントとなる「会話の武器」をいくつかご紹介します。