体幹トレーニングの基本メニューとして知られている「プランク」。
プランクとは、うつ伏せになって、前腕・ひじ・つま先を床につき、体を浮かせた状態でキープするエクササイズです。お尻を上げたり体を曲げたりせず、体を一直線に保つのがポイント。腹筋をはじめ、全身を引き締めるために効果絶大だと言われています。
プランクの基本姿勢
特別な器具や広いスペースを必要としないので、自宅で気軽に取り組むことができます。
プランクは基本メニューであることから、派生したトレーニング方法が多くあります。
そこで、柔道整復師/パーソナルトレーナーのヒラガコージさんと、ヨガインストラクターの高木沙織さんに効果的なプランクのトレーニング方法について聞きました。正しい知識を身に付けて、効率的に美ボディを手に入れましょう。
1.プランクの効果がグンとUPする“超簡単な下準備”
まずは、柔道整復師/パーソナルトレーナーのヒラガコージさんに基本的なプランクのトレーニング方法と、トレーニング前に意識すべきことについてレクチャーしてもらいます(以下、ヒラガコージさんによる解説)。
体幹は腹圧ONで!
近年、「体幹が重要だ!」というのは常識になっていますが、実際の鍛え方やコツなどは知られていない部分も多いです。体幹を鍛える為にまず重要なのが腹圧です。腹圧とはお腹の中の内圧の事で、これが高まると腹部あたりの体幹が安定します。
では実際に腹圧を高める方法ですが、これは明確にどこかの関節を動かしたりするわけではないため、文字にするのがとても難しいです。あえて言うのならば「お腹にグーパンチされた時に負けないようにお腹を固める感じ」といったところでしょうか。お腹を凹ませるのではなく、むしろ突き出すくらいのようにお腹に力を入れて息を吐きながら筋肉を固めると腹圧が高まっていきます。
気をつけなければならないのが姿勢です。メインで力を入れるのは腹筋ですが、姿勢が崩れて猫背のままだと腹圧が上手に入りません。腰を立てていい姿勢で行う事に気をつけてください。
プランクにレッツチャレンジ!
腹圧が高まってお腹に力が入る準備ができたらぜひプランクにチャレンジしてみましょう。
不安定なプランクは腹圧を高めた状態で姿勢を正して行うと、お腹だけでなく肩甲骨の周りなど体幹部全域の固定したい場所、安定させたい場所を鍛えることが可能です。
1. 床に向かって肘とつま先をつけてバランスを取る
2. お腹に力を入れて腹圧を高めたら背骨を真っ直ぐにする
3. お腹の力を緩ませず浅い呼吸を続けながら状態をキープする
※30秒キープ3セット/1日。疲れて身体の力が抜けたりすると、背骨が緩んでお尻が高くなります。なるべく体勢を変えないように頑張りましょう。
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2.プランクがキツい初心者は“1分足踏み”で体幹を鍛える
プランクはキツすぎて自分には続けられなさそう、と挫けてしまっていませんか?そこで、ヒラガコージさんに運動習慣のない初心者さんでも体幹を鍛えることができるトレーニング法を紹介してもらいました(以下、ヒラガコージさんによる解説)。
体幹トレーニングの効果、ちゃんと感じてる?
体幹トレーニングは、関節のないお腹、しかも奥底の筋肉に力を入れるため、どうしても感覚で説明することが多くなり、運動が得意な人でないと理解しにくい部分があります。
また、体幹トレーニングはお腹の奥から力を入れて腹圧が入った状態で行わなければ効果がないどころか、怪我のリスクが高まって初心者がいきなり行うのはとても難しいです。
そこでオススメなのが誰でも簡単にできる「ハンズアップステッピング」です。
「ハンズアップステッピング」のやり方
代表的なプランクトレーニングをはじめとする、“スタビライズ(キープ)系”はインナー腹筋への意識が弱まると怪我のリスクが高くなります。
今回ご紹介するメニューは呼吸を利用してお腹の意識を高めて体を動かす“モビリティ系”なため、いきなり怪我するなどの危険は低いです。さっそくやってみましょう!
1 直立し、姿勢を正します
2 肘を伸ばしきり、手首を返して指を伸ばし切ります
3 腕を挙げてバンザイ姿勢をとります
4 息を強めに吐きます。このタイミングに合わせて足踏みをします
5 この状態での足踏みを1分間続けてみましょう
バンザイ姿勢でその場足踏みをするエクササイズです。呼吸をつけてインナー腹筋を刺激させて、お腹を引き締めた状態で足踏み(=不安定なバランス状態を作る)をする事で動きながらバランス力を必要とし、体幹筋を鍛える事ができます。
まずは1日1セットからはじめて、2週間で2セット、1ヶ月で3セットと徐々にセット数を増やしてみましょう。このエクササイズは呼吸によって腹筋に力を入れて行うことが重要なため、絶対に呼吸を忘れないようにしましょう。
【ヒラガコージ】
柔道整復師/パーソナルトレーナー。スポーツクラブでインストラクターとして指導をし、現在は医療国家資格である柔道整復師の知識を生かした身体機能の改善からダイエットまで幅広いクライアントを担当するフリーランスのパーソナルトレーナーとして活動中。
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3.お腹のぜい肉を落としてくびれをゲットする進化系プランク
プランクといっても、実に多くの種類のポーズがあり、ポーズ次第によって負荷や鍛える部位を変化させることができます。そこで、ヨガインストラクターの高木沙織さんに、プランクのアレンジトレーニングについて聞きました(以下、高木沙織さんによる解説)。
腹部中央のプニプニお肉を引きしめる
まずは基本のプランクのポーズを取ります。
(床に四つ這いになり、片足ずつうしろに下げてつま先を立て、片肘ずつ床につく)
そこから、お尻を持ち上げる~プランクの姿勢に戻るという動きを繰り返します。
1. 息を吐きながらプランクからお尻を持ち上げる
2. 息を吸いながらお尻を下げ、プランクの姿勢に戻る
息を吐くとき、お腹をしっかりとへこませるようにしてみてください。腹横筋(お腹を横から包むようにつながる筋肉)に効いてきて、お腹を引き締める効果を高められるでしょう。
回数は10回からを目標に。慣れてきたら増やしていきましょう。
キュッとしたくびれを手に入れる
続いては、腹部サイドのくびれを作るエクササイズです。これも、基本のプランクの姿勢から始めましょう。
1. プランクから右のお尻を床に近付けるように下げる
2. プランクの姿勢に戻り、お尻を左へ下げる
この動きも10回から無理のない範囲で始めてみてください。慣れてきたら吐く息に合わせてお尻を下げ、吸う息に合わせてプランクに戻るとなおよいです。
体幹をひねる運動によってウエストに位置する腹斜筋に効かせることができると言われています。
2つのエクササイズをおこなうのがツラい日は、どちらかひとつでもよいでしょう。“何もせず”に諦めてしまうのが一番もったいないことです。
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ここでは、初心者向けの負荷の低いプランクと、さらに負荷を重くした上級者向けのプランクについてご紹介いただきます。自分に合った強度でプランクを実践し、美しい腹筋を手に入れましょう(以下、高木沙織さんによる解説)。
【プランク初級者向け】体を斜め一直線に
プランクのポーズの初級バージョン。両手を床につき、腕を伸ばして体幹部と呼ばれる胴体部分を引き上げた状態をキープするため、お腹にグッと力が入りウエスト周りの筋肉の強化に効果を発揮します。
1. 床に四つ這いの姿勢になる(手は肩幅・足は腰幅・肩の真下に手首・股関節の真下に膝をつく)
2. 片足ずつ後ろに下げてつま先を立て、膝を浮かせる
3. つむじからかかとまでが斜め一直線になるように意識して、鼻呼吸を繰り返す
まずは30秒から。体幹力がついてきたら1分を目安に、毎日の習慣にしてみてください。ポーズがつらい方は<2>の段階で膝を浮かせずにキープしてみて。
【プランク上級編】両手両足で支える
こちらは上級者向けのプランクです。肘を曲げて両手を床についた状態で、体と床はスレスレのところで平行をキープ。これまでのポーズと比べると強度がグンと高くなります。
1. 床に四つ這いの姿勢になる。
2. 片足ずつ後ろに下げてつま先を立て、膝を浮かせる。
3. つむじからかかとまでが斜め一直線になるように意識する。
※ここまでは、初級と同じ
4. 脇を締めて肘を曲げ、胸・恥骨・太ももが一直線を保ったまま体を下していき、床につかないところでキープする。
このポーズは強度が高いので、2~3呼吸キープしたら体を休ませましょう。肩だけで力まないように、お腹の力をしっかり使って引き上げるように意識をするといいですよ。
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5.二の腕にも効果アリ、一石二鳥プランクトレーニング
体幹や腹筋に効果的と言われるプランクですが、アレンジを加えることで二の腕にも効果がプラスされるとのこと。ここでは、二の腕にも効果が現れるプランクのトレーニング法を紹介します。いつものトレーニングメニューにプラスしてみては?(以下、高木沙織さんによる解説)
エルボーサイドプランクで二の腕もシェイプアップ
自宅で取り組むのなら、ヨガの“エルボーサイドプランク”のポーズがオススメ。体を横向きにして二点でバランスを取るこのポーズは、二の腕に抜群に効いてくるでしょう。床を押す力も働くため、脇の下のプヨプヨとしたお肉を減らすのにも効果的です。
1. ヨガマットもしくはバスタオルを敷いた上にうつ伏せになり、背筋の力で上体を起こしたら肩の下に肘をつく
2. 左手を右肘の方に向けて曲げ、その先に右手をつく
3. 左体側を下にして横向きになったら、両足を重ねる
4. 息を吸って体を持ち上げる準備をし、吐きながら腰~ふくらはぎまでを浮かせ、右手を天井に伸ばす
※ポーズがキツイ方:右ひざを曲げて左足の前に足をつき、三点で体を支える
5. 鼻呼吸をゆっくり5回繰り返したら(1)の姿勢に戻り、反対側も同様におこなう
ポイントは、肘で床を押すこと、お尻をグッと引き上げてキープすることです。
バランスボールを使って二の腕も一緒にトレーニング
プランクの強度をやや抑えながらも二の腕に効かせることができるのが、バランスボールを使ったトレーニング。
バランスボールに両手をつき(肩の真下あたり)、片足ずつ後ろに伸ばした姿勢を、30秒を目安にキープしてみてください。肩がすくむ、背中が丸まる・反ることがないように、体は斜め一直線を意識するのがポイントです。
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【高木沙織】
美容ライター/ヨガインストラクター/ビューティーフードアドバイザー/スーパーフードマイスター。多角的に美容・健康をサポートする活動を行っている。過去には『AneCan』『Oggi』の読者モデル、ファッションモデル、ナレーター等も経験。Instagram:
saori_takagi
<文/女子SPA!編集部 指導/ヒラガコージ、高木沙織>