【いまどきの男を知る会　ファイルNo.39 フリーメイソン詐欺男子】 　オレオレ詐欺、国際ロマンス詐欺、還付金詐欺、情報商材詐欺……、コロナ禍や物価上昇の影響か、詐欺のニュースをよく目にするようになりました。 　殺伐（さつばつ）とした世の中で、身を引き締めていたのですが、ある時、気になるDMが……。投資やロマンスなどには気をつけていても、人それぞれの願望を刺激する巧妙な手段があるので油断できません。 「How are you doing today son of the light?」 　ある時、「メソニックマン」というユーザーネームの、アメリカ人らしき男性から送られてきたメッセージ。メソニックということは、秘密結社フリーメイソンの会員なのでしょうか。 　半信半疑ながらそのメソニックマンのインスタを見ると、フリーメイソンのエプロンをつけて儀式に参列している写真が並んでいました。本名はJamesさんのようです。50代前後の、どことなく貫祿と余裕が漂（ただよ）うおじさんで、フリーメイソン会員と言われても信憑性がありました。フォロワーも1万人くらいいます。 「調子はどう？ 光の子よ」(以下、和訳）と、フリーメイソンっぽい呼びかけにテンションが上がり、つい返信してしまいました。 「元気です。ありがとうございます」 「Good. どこから来ましたか？」「日本です」そう答えると、メソニックマンは単刀直入に 「フリーメイソンに参加することに興味ありますか？」と聞いてきました。 「ありがとうございます。ただ東京ロッジの人に聞いたら、本一冊ぶん、儀式のために暗記しなければならないと言われたので難しそうです」と、高揚を抑えながら返信すると 「東京ロッジはダウンしていますよ」と驚きの情報が。 「それは知りませんでした。東京のロッジは孤立しているということですか？」「はい」 　事情通っぽいので、フリーメイソンの内部の人なのかも、と思えてきました。 「だから私に入会するのを手伝わせてください」 　何が「だから」かよくわかりませんが、一応話を聞くだけ聞いてみたいです。ただ、懸念されるのは、今の時代どうかと思いますが、女性は原則的に入会できない、というルール。 【フリーメイソンの入会について詳しくは】⇒謎多きフリーメイソン、入会審査はまるで難関小学校お受験のよう｜辛酸なめ子 「女性はフリーメイソンには入れないという規則があると聞きました」とメソニックマンに言うと 「誰に聞いたんだい？ もちろん女性も入れるよ」と、フランクなお答え。 「僕はテキサスに住んでいるけど先週は女性が会員になるのを手伝ったよ」 「texas is woman ok?」 　興奮してつい単語を羅列した英文を送ったら 「I don’t understand」と、言われてしまいましたが、気になるのはお金の面。 「登録料と入会金でたった500ドルです」「年会費はかかりますか?」「いいえ」 　フリーメイソンは年会費が数万円かかると聞いたことがありますが、国によって制度が違うのでしょうか。しかも「メンバーシップカードを発行するので、いつでも式典に参加できます」と、魅力的な特典が。テキサスなので遠いですが……。とにかくその週の土曜日までに入会すればいろいろ「benefit」が得られるようです。 「秘密の握手の方法も教えてもらえますか?」「はい」 「式典に参加できたら光栄ですが、儀式の写真は男性ばかりなのでまだ信じられません」 メソニックマンのインスタの写真はおじさんonlyなので、疑念を呈すると、”証拠写真”を出してきました。 「これは数日前に入会を手伝った女性です」 　サングラスをかけた女性が、目玉モチーフの絵の前に立っている……冷静に考えて何の証明にもなっていませんが、フリーメイソンっぽい目玉の絵に、少し信憑性を感じてしまいました。 「彼女は嬉しそうですね」「はい。もちろんです。あなたもメンバーになって幸せになってくれることを願っています」 「それではプロセスを始めましょう」と、半ば強引に手続きを進めようとするメソニックマン。名前と年齢を聞かれ写真を送るようにとのことだったので、言われるままに送信。 　しかしそのあと、さらにハードルの高いミッションが。