上司の目にも光るものがあった。気持ちは同じだ、だけど関係をもったらどうなると上司はつぶやいた。お互いの家庭が壊れ、子どもたちにつらい思いをさせ、職場でも処分される。
何もかも失い、何もかもが終わる。子どもたちに責任とれるか、と彼は言った。
「友だちのような関係でいよう。彼はそう言いました。つまり性的な関係はもたない。
他人に見られても、仲のいい上司と部下だと断言できる関係を貫こうって。

月に数回はふたりだけでゆっくり過ごしています。もちろんホテルなどには行かない。個室の料理屋などで向かい合って話すだけ。映画を観に行くこともあります。そのときはずっと手をつないでる。キスもしたことはありませんが、これは恋だと言えます」
もちろん、とてつもなく悲しくなることもある。こんなに好きなのに、こんなに気持ちが寄り添っているのに顔と顔、体と体は近づけないのか。
「コロナ禍でも私たちは会っていました。そのとき思ったんです。体の関係がなければ、何があっても別れは来ないんだ、と。
淡々と会い、魂を共有するような時間を過ごす。手をつなげば彼の気持ちがわかる。5年でそんな関係になりました」
当然、この先はわからない。7歳年上の上司にはふたりの子がいるが、あと7年たてば下の子も大学を卒業する。彼女のひとり娘も、あと10年もすれば巣立っていくかもしれない。
「いつか抱き合える日が来る。以前はそう思っていたけど、もしかしたらそんな日が来なくてもいいのかもしれない。今が幸せだから」
お互いにどんな我慢をしても、この関係を守りたい。そう思っていると彼女は凜とした口調で言った。
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<文/亀山早苗>
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