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ノーワクチンノーマスク妻と離婚。すれ違いは出産する助産院への“盲信”から始まった

「あの勉強会での様子を見ていたので、ある意味納得ですが。そして幸いにも、実際かからなかったのですが。後の離婚時には子どもについて話し合い、定期接種のワクチンだけは打ってほしいとお願いして了承してもらったにもかかわらず、結局いまだその約束は果たされていません。勉強会も含めて、話し合いって何でしょうね……」 旺太郎さんが苦しむ一方で、夫が自分の選択を受け入れてくれないと、妻側もまた苦しんでいるかもしれない。子どもが生まれて育児がはじまると、さらに話がかみ合わなくなっていく。

帝王切開への根強い偏見

「子どもは結局その助産院ではなく、病院で帝王切開して産まれました。そのことは元妻も納得して無事生まれたことを共に喜んでいましたが、育児が始まると、何かにつけて『下から産めなかったせいだ』とはよく言っていましたね」 助産院離婚202306「子どもが熱を出したりお腹をくだしたりすると、『やっぱり産道を通らなかったから弱い*4』と。助産院での交流でそうした考えになったのか、元からそう考えていたのかどうかはわかりません。でも、そうした主張にも違和感を覚えてしまい、どう受け止めればいいのかむずかしさを感じていました」 *4…「帝王切開で生まれた子どもは、免疫力が弱い。肺が弱い」といった言説があり、医療に否定的なイメージを持ちがちな界隈で根強く信じられ、「自然なお産神話」を補強する文脈で使われる。一般的な医学的見地からは、否定されている。

そして、別居生活へ

夫がどんなにフォローしても、お産・育児の先輩や、助産師という専門家の言葉のほうに重きを置いてしまうのは仕方がないことかもしれない。しかし妻のそうした「助産院ファースト」な考えは、仕事にも影響が及んでいったため、生活に大きな影響が出てしまった。 助産院離婚202306「妻はもともと仕事で、親子向けのワークショップ的なものも開催していました。その活動の方向性が助産院の価値観とフィットしたんでしょうか。助産院でも開催したらと持ちかけられ、妻は喜んで承諾。しかしお話したように、自宅から助産院は距離があります。結果、妻が独断で助産院からアクセスのよい場所に別宅を構えることとなり、週の半分以上子どもと共に不在に。そして次第に完全別居となり、そこから離婚へと至ります」 離婚の理由にはほかにも多々あり、助産院の存在はあくまできっかけのひとつなのかもしれない。しかし旺太郎さんの見立てでは「根本的な原因が元妻の“沼”体質」にあるのではという。 後編につづく <取材・文/山田ノジル>
山田ノジル
自然派、○○ヒーリング、マルチ商法、フェムケア、妊活、〇〇育児。だいたいそんな感じのキーワード周辺に漂う、科学的根拠のない謎物件をウォッチング中。長年女性向けの美容健康情報を取材し、そこへ潜む「トンデモ」の存在を実感。愛とツッコミ精神を交え、斬り込んでいる。2018年、当連載をベースにした著書『呪われ女子に、なっていませんか?』(KKベストセラーズ)を発売。twitter:@YamadaNojiru
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自分が身内が友人が沼ったご体験談を募集中です。当連載における沼とは、科学的根拠のない健康法やマルチ商法、過激なフェムケアや自然派思想など、主に健康問題に関わるものにハマることを示します。「女子SPA!」のお問い合わせフォームより、ぜひお気軽にご連絡ください(お返事に時間を頂戴する場合もあります)。
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