――男性芸人としては初の『VOCE』の表紙も飾りました。何か裏話などあれば聞かせてもらえますか?
「あの表紙については『やらされちゃってる感がないように』というのが一番にありました。『ウレアカ?』に一年間取り組んでもらってM-1を獲っての表紙ですから、板についた形で出てもらいたかったんです。
スタッフでまず協議したのは、(松井)ケムリさんをどうするかでした。くるまさんはもともと見た目をコロコロ変える方ですし、フォトジェニックな人だから、どう撮っても大丈夫。憑依(ひょうい)型でモデルスイッチが入れられるから、照れずに撮影できちゃうのもわかっていたので。
ケムリさんは普段見た目の印象に変化が少ないので、パブリックイメージがフィックスしているようなところがある。だから、加減が難しい。そのままだとあまりにもケムリさんすぎてしまい……」

(C)『VOCE』より
――ケムリさんの落としどころを模索した表紙だった、と(笑)。
「フィッティングもヘアメイクもケムリさん先行で進め、あとはくるまさんをそこにどう添えるか?という感じで。
実際に雑誌が並んでいるのを見た時は本当に感動しました。他の美容雑誌がたまたま女性の表紙ばかりだったせいか、本屋でやたら際立(きわだ)っていたように思います」
――この一年間で、本来のターゲットだった男性視聴者からはどのような反響があったのでしょうか。
「美容に親しみのない男性はコメントがしづらくはあったようですが、『美容に深くなりすぎない、ちょうど良い浅さがいいです』『情報がありすぎて何からやっていいかわからなかったけど、ようやく自分にあったものに辿(たど)り着きました』などの声が届いています。
芸人さんに対しても『くるまさんの美容への距離感が好きなので見習いたい』とか、『素敵じゃないかの吉野さんの脱毛、あんなに痛いものを通えるなんて凄い』など。ちゃんと届いてるなと感じました」
――男性視聴者に『ウレアカ?』の思いは届いていたわけですね。そのうえでメンズ美容についての新たな発見はありましたか?
「改めて道のりは険しいとも思いました。美容業界の方たちともメンズ美容についてはよく話をしますけど、一般的になりつつあるムードは感じていますが、なかなか大局が動かない。毎日ヒゲを剃っていることを考えれば、男性は女性よりも肌の状態って過酷なはずなんですよ。美容について知っているのと知らないで放置しているのには大差があると思うんです。
かといって女性と同じテンションで美容に向き合って欲しいとも思いません。絶対にスキンケアやメイクはやらなくてはいけないものでもないですから。ただ、美容をきっかけに自分を丁寧に扱うコツを掴んだり、ラクに生きる知恵くらいのノリで捉えてくれる方が増えたらいいな、と思ってます」