――永瀬さんも、美佐子を演じた水崎綾女さんも、クランクイン前から役柄の部屋に住んでいたそうですね。また、監督の作品は順撮りですが、そうしたスタイルは今、少ないと思います。カメラの前に立った瞬間に、パチっと役に入る俳優さんもいるかと思いますが。
河瀬:僕はパチっと切り替えられると言っている人でも順撮りの中で見えてくるものが必ずあると思います。

『光』より
――雅哉の写真は実際にカメラマンとしても活躍する永瀬さんが撮られたとか。雅哉が最後に撮った美佐子の内面を映し出したあの写真はどう撮影したのでしょうか?
河瀬:あれに関しては、本作の撮影を担当した百々新が撮っています。彼は、もともとスチールカメラマンで、木村伊兵衛写真賞を受賞したこともある人です。あのシーンでは、永瀬君と二人羽織のような状態で撮りました。
――二人羽織に? では、映画のシーンを撮影しながら、その場であの写真を?
河瀬:そうです。ムービーカメラを助手に渡して、永瀬さんからカメラを手渡されて撮影しました。すごく神聖な瞬間でした。

『光』より
――少し前になりますが、監督は『山田孝之のカンヌ映画祭』に出演されて話題になりました。
河瀬:ね。あれは(監督の)松江(哲明)くんと山下(敦弘)くんと、プロデューサーも前から知っている人で、ぜひ出てほしいという話があって、いいですよ、楽しそうだからって引き受けたんです。山田くんは前から一緒に仕事をしてみたいと思っていた俳優さんだったし。
――これが縁で山田さんは監督の短編『パラレルワールド』(2017)に出演されたんですよね。
河瀬:そうです。山田くんが愛おしくて愛おしくて。もっともっと時間を過ごしたくなりました。ぜひ長編でも組みたいです。