Mさんに、「
もしこの居酒屋だったら、どの店員さんに話しかけます?」と聞いてみた。
「そうですね」としばし店内を見回すと、Mさんは
背が高くて爽やかな店員に目をつけた。20代後半くらい、短髪でよく日に焼けていて、他のテーブルのお客さんと気さくに話している。
その店員を呼んでオーダーすると、もうすぐハッピーアワーが終わることや、指定のお酒とおつまみをセットで注文するとお得になることなどを、ニコニコと滑舌よく説明してくれた。感じのいい人だ。

お会計の時、Mさんはその店員と一言二言会話すると、「あ、ちょっと待ってください」と言い、鞄の中から未開封の
小さなチョコを取り出した。
「
ごちそうさまでした。これ、よかったら休憩の時にでもどうぞ」
店員の男性は素直に喜び、受け取っていた。なるほど、コンビニで数十円で買えるものなら相手の負担にならないし、
小さなお菓子と一緒にこっそり連絡先を渡せば、店員も受け取りやすいだろう。
魅力的で、初対面の人ともすぐ打ち解けて話せるMさん。ナンパもされるし、逆ナンもできるのに、何故わざわざ店員に声をかけるんでしょうか?
「
仕事中だと、無下にされないからです(笑)。あと、よりゲーム性が高くて、『やった、落ちた!』っていう達成感がある。こうしたら、こうなるんじゃないかって考えながら動いたり、予想以上の反応があったりすると、楽しいです。それに、自分の女としての価値を確認できるっていうのもありますね」
Mさんのモットーは、「明るく・軽く・楽しく。そして、腐れなく!」だという。
気になる店員と仲良くなるには、積極性だけでなく、執着しないドライさも必要なのかもしれない。
<文/藍川じゅん>
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80年生。フリーライター。ハンドルネームは
永田王。著作に『女の性欲解消日記』(eロマンス新書)など。