うえはらけいたさんは、大学卒業後、大手広告代理店である博報堂に入社。コピーライターとして5年間勤務した後に、多摩美術大学に編入。卒業後はデザイナーを経て、漫画家としてデビューするという異色の経歴の持ち主です。最初にコピーライターを目指した理由はなんだったのでしょうか?
うえはらけいたさん(以下、うえはら)「元々高校時代に美大に行きたいと思っていたんですが、担任の先生に反対されて簡単に諦めてしまったという経緯がありました。
絵を描くことは一度諦めてしまったんですが、就職活動をするタイミングで、『絵は無理でも、せめて企画やアイデアなどに携わる仕事がしたい』と思い、テレビの番組制作や、広告のクリエイティブ職を目指した、というのがコピーライターを目指した理由です」
コピーライター時代に1番キツかったことはなんでしょうか?
うえはら「勤務して2年目くらいになり、ある程度成長して、自分で考えたアイデアやコピーが、自分でもよくないと分かる時期が一番きつかったです。漫画の中でも書いているのですが、自分で自分のアイデアにダメ出しをしてしまうような状態でした。
ピタッとコピーを書く手が止まり、めちゃくちゃ時間をかけているのに打ち合わせにはほとんど手ぶらで行く、みたいなことになってしまっていました。周りにもあまり相談できる人がおらず、精神的にも苦しかったです」