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超エリート灘高生が女子大生と学ぶ性教育を、ネットで“合コン”と揶揄。背景に「男子校への偏見」か

「男子校×女子大×性教育」の組み合わせから“エロい”妄想をする人が少なからずいたのは、そうしたポルノコンテンツが世にあふれていることの表れだろう。しかし、それ以外にも問題があると、おおたさんは指摘する。 灘高性教育202310「もともとあった男子校への偏見が、ハレーションを後押したのだと思います。少なくとも、男子校を揶揄するようなコメントを男子校出身者が書くとは考えにくいですよね。ああいうコメントを書いているのは、どんな人なのだろうというところに、私は興味をもちました」

社会を作ってきたのは誰なのか

先ほどの男子校ノリも、偏見のひとつ。それから、とおおたさんはつづける。 「一部のエリート高出身者が社会の上層部を占めている、引いては日本社会の性別役割を温存している、という言説も、偏見にすぎないと思っています。私立の男子校が難関校として人気を集めるようになったのは1970年代半ば以降のことで、それまではずっと共学校が最難関大学の合格者を寡占していました。 “男子校エリート一期生”たちはいま60代の半ば。ようやく社会のトップに立とうかというくらいであり、いまの社会は彼らが作ったとはいえません。共学出身者が多ければ男女平等社会が実現するというのなら、日本はとっくにそうなっていないとおかしいですよね。だって、男子校はたった2%、女子校だって6%もなくて、約92%は共学校なんです。だからといって、男子校や女子校を増やせといいたいわけじゃありません」

性に関するつまづきが浮き彫りに

実際、男子校も女子校も、少子化の波を受けて今後は減る一方と見込まれている。 「つまり、特に男子校に過度に悪いイメージがつきすぎていないか、と問いたいだけです。そもそもジェンダーにまつわる世の中の空気って、一部のエリートがつくれるものなんですか? みんなでつくるものですよね。だからみんなに、こういう教育が必要なんだと思います」 灘高性教育202310同時に、女子大にも偏見があり、性教育にも偏見がある。いまだ「セックスを教えること」だと思っている人は一定数いる。そうしてハレーションを起こしてしまった人たちこそ、性に関することでつまずいてはいないだろうか。 性、ジェンダーについて学ぶときに、偏見は邪魔になりやすい。その偏見から脱却するためのヒントが、意外にも、男子校の生徒たちと女子大の学生たちとのフラットな対話に詰まっているのかもしれない。 <文/三浦ゆえ>
三浦ゆえ
編集者&ライター。出版社勤務を経て、独立。女性の性と生をテーマに取材、執筆を行うほか、『女医が教える本当に気持ちのいいセックス』(宋美玄著、ブックマン社)シリーズをはじめ、『50歳からの性教育』(村瀬幸浩ら著、河出書房新社)、『リエゾン-こどものこころ診療所- 凸凹のためのおとなのこころがまえ』(三木崇弘著、講談社)、『新生児科医・小児科医ふらいと先生の 子育て「これってほんと?」答えます』(西東社)などの編集協力を担当。著書に『となりのセックス』(主婦の友社)、『セックスペディアー平成女子性欲事典ー』(文藝春秋)がある。
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