「ママ」になったトランスジェンダー女性が幼い娘に伝えたいこと「家族のあり方が人とは違うと感じ始めるときがくる」
変化をもたらす人はみんな「へんこ」
――谷生さんの出演により、トランスジェンダーの可視化にもつながったのではないでしょうか?
放送のたびに、Twitter(現在はX)で私の名前がトレンドに上がるほど、話題になっていました。ただ、徐々に反応も鎮静化していったんです。つまり、何かを継続すると日常になり、世の中が当たり前に変わるということですよね。
例えば、“アメリカの大統領”という言葉を聞いて男性を想像しますよね。だけど一人、女性の大統領が出てくるだけで、世間の持つ認識は変わります。
なので、可視化するには継続が大切だと実感しました。さらにこういう経験を積み重ねることで、成功体験となり自信に変わる。私は「へんこ」と言われていたけど、考えてみれば世の中に変化をもたらす人はみんな「へんこ」なのだと思えました。Proud to be “変”(変であることは誇り)なんですよ。
――批判的な人たちの言葉を鵜呑みにする必要はないということですね。
全員に好かれる必要はありません。必ずどこかで自分のことを悪くいう人はいますが、なんとなく苦手意識を持つ人は誰にでもいるので、仕方ないのです。それより、今は自分らしく過ごす自分を評価してくれる人たちのことを大切にしたいなと思います。
――どんな人に本を読んでもらいたいですか?
すべての迷える人たちに読んでもらいたいです。正直、遅ればせながら45歳で映画プロデューサーになって、懸命に働いていても、日々仕事のことで迷っています。ほんと、プロデューサーって大変なんです……(笑)。大人になっても何が正解かわからないですし、幸せの処方箋はないのです。
人間みんな迷いながら行き先を決めて進むことが人生だと思います。この本を手に取った人が「パートナーほしいな」「海外行ってみようかな」「この映画見てみようかな」など、迷いながら生きていく人生の何かしらの灯火となれば嬉しいです。
<取材・文/Honoka Yamasaki 撮影/鈴木大喜>山﨑穂花
レズビアン当事者の視点からライターとしてジェンダーやLGBTQ+に関する発信をする傍ら、レズビアンGOGOダンサーとして活動。自身の連載には、レズビアン関連書籍を紹介するnewTOKYOの「私とアナタのための、エンパワ本」、過去の連載にはタイムアウト東京「SEX:私の場合」、manmam「二丁目の性態図鑑」、IRIS「トランスジェンダーとして生きてきた軌跡」がある。また、レズビアンをはじめとしたセクマイ女性に向けた共感型SNS「PIAMY」の広報に携わり、レズビアンコミュニティーに向けた活動を行っている。
Instagram :@honoka_yamasaki
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