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地方企業の暗黙ルール=「男性のカップは女性が洗う」従わず呼び出された40代独身女性の“意外なその後”

地元を出たかった、とモモエさん(仮名・40代)は言う。生まれ育った土地を、出たかった。40代で転職活動をはじめた。この年齢の転職はむずかしいと思っていたけれど、意外にもスムーズに進んだ。勤めていた会社を早々に辞め、引っ越した。 地方に生きる、独身の40代女性にお話を聞くシリーズ、1回目は新潟県出身の女性にスポットライトをあてる。
地方40代独身女性202312

※画像はイメージです(以下同)

新潟にいるあいだ、モモエさんは息苦しかった。社会の動きはニュースやネットで知ることができる。でもそんなふうに話題になるのはぜんぶ都会のことで、地方にいる自分は蚊帳(かや)の外にいるとずっと感じてきた。

「老後は困る」の呪い

「実家のあたりでは、40代で独身でいると、『ひとりで好き勝手に生きている』というレッテルを貼られます。そこには、結婚もせず子どもも産まず勝手に生きていたら老後は絶対に困るぞ、っていう意味合いが込められているんですよね」 結婚して子どもさえいれば老後は安泰ってわけでもないのに……とモモエさんはつぶやく。 息苦しいなら地元を出ればいい、というのはシンプルな考えだが、そう単純にはいかない。40代独身女性は、決して身軽ではない。転職したくても一般的に企業が求める中途採用人材は30代半ばまでといわれている。実家暮らしの場合は、高齢の両親のことも考えざるをえない。

地元を出たい気持ちはあれど

重くなるフットワーク。「出たい」と「出る」のあいだには、見えないけど大きくて深い溝が開いている。越えるために背中を押してくれる決定的な出来事があれば、話は別だ。 「私の場合は、長く勤めていた会社を辞める大きなきっかけがあったんですよね」 それは、給湯室での出来事だった。その会社では、男性職員が使ったカップを女性職員が洗うという、暗黙のルールがあった。 地方40代独身女性202312「私、洗わなかったんですよ」とモモエさんはきっぱり言う。潔い。
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人生を考え直すきっかけは、給湯室における性別役割分業
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