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浮気は「される側」にも原因が?『あな家』不倫の危険は“普通の家”にも

亀山早苗の不倫時評――『あなたには帰る家がある』の巻 vol.2>  豪華キャストで話題のTBS金曜ドラマ『あなたには帰る家がある』(金曜、夜10時)、略して『あな家』。夫婦二組の不倫を描いた本作を、不倫事情を長年取材し著書多数のライター・亀山早苗さんが読み解きます。(以下、亀山さんの寄稿)

「浮気される側にも原因がある」のか?

 ドラマ『あなたには帰る家がある』では、真弓(中谷美紀)の夫・秀明(玉木宏)が浮気していることを知った茄子田太郎(ユースケ・サンタマリア)が、真弓に「浮気される側にも原因があるんだよ」と言うシーンがある。その時点では、太郎は秀明の浮気相手が自分の妻・綾子(木村多江)であることを知らないのだが、のちにそれを知ることになると考えると、皮肉なひと言だ。  実際、「浮気される側にも原因がある」のだろうか。答を先に述べるなら、多くは浮気される側には原因がないと思う。浮気する人は配偶者がどういう人であれするし、しない人はしないのだ。  夫に浮気された、不倫されたという女性たちに会ってみると、おしなべて外見もきれいで、まじめできちんとした女性が多い。もし彼女たちの非をあげるなら、「きちんとしすぎている」点かもしれないと思うほどだ。仕事をしていようが専業主婦であろうが、家事も育児もきちんとこなし、考え方もきまじめ。そんな妻に夫としては息が詰まるということはあるかもしれない。だからといって、そういう夫が必ずしも浮気に走るわけでもない。  夫からのセックスの誘いを拒み続けている妻がいた。断っているだけならまだしも、彼女は「そんなことしか考えていないの?」「本当にうんざりだから、外でしてきて」と言い放った。結果、夫は浮気をし、相手に本気で惚れ込んでしまった。そして夫婦は離婚するしかなくなった。  セックスを断る自由はある。だが、断り方を工夫しないと相手を傷つけることになる。これは男女を逆転させても同じことが言える。

結婚生活に、恋愛感情は不必要

 結婚したら恋愛感情がなくなるのは、ある意味で当然かもしれない。家に帰ってドキドキするような人がいると、日常生活がうまく回らなくなってしまう。一般的には、ときめくような恋愛感情が薄れ、家族としての深い愛情が育まれていくのが結婚生活だともいえる。「結婚しても恋人同士みたいな感覚でいたい」のは、あくまで希望であって現実ではないのかもしれない。  そんな中でも「惚れ直す」ことはある。配偶者の今まで知らなかった意外な面を見たり、ふと恋人時代を思い返したりするとき、改めて「この人と結婚してよかった」とか「あの頃のときめき」とかを感じれば、関係はまた新鮮に映る。家族となった今、日常的な恋愛感情はなくても、深い愛情の裏にはかつての恋愛感情がベースとしてあるはずだ。 夫婦間のときめき ただ、日常というルーティンの中で、新たな感慨、改めての愛情がわき起こりづらい側面がある。日常生活は平坦に平和に過ぎるのがいちばんだから、自分の感情もあまり大きな波がないほうがいいのだ。それゆえ、夫婦間は「空気のような存在」になっていく。本当は何より大事なのに、その価値に気づかなくなっていくのだ。 「私ならもっと秀明さんを大事にするのに。家事なんかさせないのに」  ドラマの中で、秀明(玉木)の家にいきなり入り込んできた綾子(木村)が、そうつぶやくシーンがある。自分なら、この男性をもっと幸せにしてあげられる。それは恋する女の感情だ。一緒になって生活をともにすれば、またルーティンが始まるだけ
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どんな結婚生活にもある「闇」と「隙間」
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