大塚愛を震えさせた“夫の愛人”。不倫の憎しみはなぜ妻に向かうのか?
「あるとき、そんなことを考えているうちに彼の自宅に行ってしまった。一戸建てで門の向こうには花壇があって、平和な家庭を象徴していた。なんだか腹が立って、勝手に門扉を開けて花壇に入り、花をめちゃくちゃにしてやりました」
外へ出て様子をうかがっていると、妻がひとりで戻ってきた。花壇を見て呆然と立っているのを見て胸がすっとしたという。
「一度行くと癖になってしまって……。新聞から文字を切り取って、『早く離婚して出て行け』なんていう手紙を作ってポストに入れてきたこともあります。彼は私だと気づいたんでしょうね。距離を置こうとしたので、全身の血が逆流しちゃって、夜中に彼の自宅へ行って『奥さんがいるから私がここに住めないんじゃないの!』と絶叫したり」
彼女は、ああ、と顔を手で覆った。どうしてあんなことをしたのか、自分でも理解ができないのだという。
「はっと気づいたら警察が来て連れていかれました。警察署でようやく自分を取り戻した。女性の警察官が話を聞いてくれて、『あなたの人生はこれからよ』って静かに諭してくれたんです。それでハッとしました。彼のことが好きで夢中になってわけがわからなくなっていたけど、奥さんの立場になってみればとんでもない迷惑なんだと……」
彼女は彼に謝罪の手紙を書き、彼から離れた。
恋はときに人を狂わせる。狂わせたほうも狂わされたほうも、回復には時間がかかる。

<文/亀山早苗> ⇒この記者は他にこのような記事を書いています【過去記事の一覧】
亀山早苗
フリーライター。著書に『くまモン力ー人を惹きつける愛と魅力の秘密』がある。男女関係、特に不倫について20年以上取材を続け、『不倫の恋で苦しむ男たち』『夫の不倫で苦しむ妻たち』『人はなぜ不倫をするのか』『復讐手帖─愛が狂気に変わるとき─』など著書多数。Twitter:@viofatalevio
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